COLUMN
3つの診断で、自分のキャリアを棚卸ししてみた
はじめに
仕事柄、人のキャリアについて話す機会がとても多いです。企業や大学での講演、研修、そして今年からはグループ会社で人材紹介の現場にも立っています。
人にすすめる以上、自分自身のキャリアも定期的に棚卸しするようにしています。今回はその一環として、よく知られた3つの診断をあらためて受けてみました。自己紹介がてら、その結果と、3つを重ねてみて見えたことをまとめておきます。
受けた3つの診断
- ストレングスファインダー(CliftonStrengths):米国ギャラップ社の診断。34の資質を順位づけして、生まれ持った「才能」の傾向を見るもの
- キャリアアンカー:MIT(マサチューセッツ工科大学)の組織心理学者、エドガー・シャイン氏の理論。キャリアを選ぶときに最後まで手放せない価値観を8つの型で見るもの
- 16Personalities:無料で受けられる性格タイプ診断。MBTIとよく似た4文字で結果が出ますが、MBTIとは別のツールです(理由は後で書きます)
キャリアアンカーは本来、自己診断の質問票に加えて、聞き手と一緒にこれまでのキャリアを振り返るインタビューをするそうです。今回は聞き手をAIにお願いしました。学生時代から順に「なぜその道を選んだのか」を聞かれ、最後は「AとB、どちらを手放しますか」という二択を何問も突きつけられました。これが思った以上に効きました。
結果
- 親密性
- 達成欲
- 学習欲
- 未来志向
- 運命思考
6〜10位:分析思考・最上志向・戦略性・自己確信・成長促進
- 奉仕・社会貢献
- 生活様式
- 全般管理(経営)
- 自律・独立
弱いのは、専門・職能、保障・安定など
- 内向型 65%
- 直感型 69%
- 感情型 56%
- 計画型 68%
- 自己主張型 64%
私のことをあまり知らない方が見ると、「社長なのに内向型?」「経営がアンカーの1位じゃないの?」と、意外に思われる結果かもしれません。自分としては、どれも納得のいく結果でした。そして3つを並べてみると、驚くほど同じことを言っていました。
3つを重ねて見えたこと
① 少数の人と、深くつながる
16Personalitiesでは内向型、ストレングスファインダーでは「親密性」が1位でした。一方で、誰でも輪に入れる「包含」は34資質中33位です。
私はずっと「人間関係を築くのが苦手だ」と思ってきました。でもどうやら、苦手なのは人間関係の広さで、深さはむしろ一番の強みだったようです。社長として大勢の前で話す仕事は、生まれつきではなく、役割として後から身につけたものなのだと思います。
② 未来を描き、学び続ける
直感型、未来志向、学習欲。振り返ると、私は生物学から都市計画・環境学、そして組織人事へと、専門分野を何度も乗り換えてきました。キャリアアンカーでも「専門を極めたい」という型はほとんど出ていません。
面白かったのは、新しいアイデアを生む「着想」が34資質中31位だったことです。新しい事業はたくさんつくってきましたが、ひらめきから始めたことはあまりありません。未来の姿を描いて、そこから筋道を立てて組み立てる。そういうつくり方をしてきたのだと、腑に落ちました。
③ 社会を動かしたい。ただし、自己犠牲ではない
キャリアアンカーの1位は「奉仕・社会貢献」でした。獣医を目指したのも、研究から社会工学に移ったのも、戦略ではなく組織人事のコンサルティングを選んだのも、理由をたどると毎回「それで社会が変わるか」に行き着きます。ストレングスファインダーの「運命思考」も、大きな目的とのつながりを大事にする資質だそうです。
ただ、16Personalitiesの補足スコアでは、利他的かどうかよりも「野心」のほうがずっと高く出ました。私の社会貢献は、自分を削って誰かに尽くすことではなく、自分の手で社会の仕組みを変えたいという野心に近いのだと思います。自分で書いていて少し恥ずかしいですが、たぶんそういうことです。
一番の発見:得意なことと、手放せないものは違う
インタビューの中で、こんな二択を聞かれました。
A:会社全体の経営を任される
B:経営には関われないが、社会を大きく変えるテーマに一担当として専念できる
私の答えは「得意なのはAだけど、選ぶのはB」でした。
シャイン氏の理論では、キャリアアンカーは「得意なこと」ではなく、「最後まで手放せないもの」で決まるのだそうです。経営は私にとって一番の武器ですが、アンカーそのものではなかった。経営は、社会を動かすための道具だったわけです。
もう一つ、「生活様式」が2位に入ったのも発見でした。「インパクトも権限も大きいが、家族や健康の時間を大きく削る仕事」と「インパクトは小さいが生活と両立できる仕事」。若い頃なら迷わず前者を選んでいたと思います。病気と結婚を経て、いつの間にか順位が入れ替わっていました。
ストレングスファインダーで「達成欲」が2位に出ているのを見ると、放っておけば働きすぎる性分なのは明らかです。生活様式のアンカーは、あとから自分で取りつけたブレーキなのかもしれません。
診断との付き合い方
最後に、人のキャリアに関わる仕事をしている立場から、少しだけ。
- 診断は答えではなく、問いのきっかけ。 結果を読んで「たしかに」「いや、違う」と思う。その反応のほうに、自分らしさが出ると感じました。
- 1つより、複数。 3つの診断が重なるところは信頼できますし、ずれるところは考える材料になります。
- 得意なことと、大事にしたいことは分けて考える。 得意なことでキャリアを選ぶと、評価はされても、どこかで満たされなくなる。そういう方を、現場でもたくさん見てきました。
- 16PersonalitiesはMBTIとは別物。 手軽でとても面白いのですが、理論の土台も結果の形式も異なります。正式なMBTIは、資格を持った専門家との対話を通して、最終的に自分でタイプを確かめていくものだそうです。
おわりに
3つを重ねてみると、私がいちばん力を出せるのは、少数の信頼できる人たちと、長い時間軸の大きなテーマに取り組むとき、ということになりそうです。これからも研究と事業を行き来しながら、日本の「働く」のあり方に関わり続けたいと思っています。
自己紹介のつもりが、思いのほか自分の棚卸しになりました。みなさんもぜひ、一度やってみてください。そして結果を教えてもらえたら、お茶でもしながら語り合いましょう。
※ 16Personalitiesは、MBTIとは異なるツールです。正式なMBTIについては、日本MBTI協会のサイトで詳しく調べることができます。
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